ATL-Speaker Ver.4.1 の測定・調整 [ATL-Speaker]
2014/8/14
ATL-Speaker Ver.4.1 の測定・調整
最終調整後の周波数特性
測定・調整
スピーカー後ろに開けたφ4cm×2 の穴を開閉し、共鳴管特有のピーク・ディップを測定する。その結果をもとに8cm ユニットで、どこ迄低域を伸ばし、且つ平滑化できるかチャレンジしてみたい。
Ver.4.1背後の穴1、穴2
測定方法
Ver.4.1 のユニット(W3-582SC)軸上1mで20Hz?~18KHz をスウィープ、FFT1/3 オクターブで積算表示。
各データ測定を3回行い略同様の結果が得られた。
測定器具
(1) Computer / MAC Mini
(2) FFT Soft / SignalScope Pro
(3) Condenser microphone / BEHRINGER ECM8000
(4) Phantom power supplie / BEHRINGER MIC100
測定結果
A. 穴1と穴2を閉じて測定(標準)
B. 穴1を閉じ、穴2を開けて測定
C. 穴1を開け、穴2を閉じて測定
D. 穴1,穴2を開けて測定
測定結果
(1) A.B.は略同じ周波数となり、穴2(共鳴管端から82cm φ4cm)の効果は少なく見える。
穴2の開閉では、80Hz が数db上昇しているが低域全般の周波数への影響は少ない。
(2) C.D.を見ると、穴1(共鳴管端から37cm φ4cm)の開閉は相当に効くようで、測定値にも大きく影響している。 穴1を開ける事で100Hz が上昇して63Hz、80Hz は、ロードが掛からなく落ち込みが大きくなる。 又穴1を開放してしまうと穴2の開閉をしても殆ど影響しない。
調 整
この共鳴管の特徴である、63Hz ピークをロードの掛かり方を減らしフラットにしたい。
測定結果より、穴1の大きさを徐々に絞って行けば、100Hz は減衰して63Hz 付近にロードが掛かるようになり平滑化できると考えた。
穴1の径を1/2、1/4、1/8と変えてFFT で波形を見ながらカット&トライで調整した。
その結果、穴1を1/8(≒φ1.5cm) にした時、良い結果が得られたので⑦板にφ1.5cm を開け測定した。
E. 穴1をφ1.5cm、穴2を閉じる
次に、穴2も開放し穴1をφ1.5cm として測定した。
F. 穴1をφ1.5cm、穴2を開放(最終調整後の周波数特性)
結 果
FFTの結果を見ると相当に凸凹しているように見えるが、マンションの部屋での測定はこんなものであろう。
甘くみて63Hz から16kHz まで±5db に入ったことから、最終的にF.を選択した。
小生が下した±5dbは 、人に厳しく自分に甘~い Selfish評価なのだ !
8cm で63Hz を達成、1m 共鳴管でそんな低音が出るの??
と思われる方もいるかもしれませんが・・・
でるんです63Hz が ! ! !
63Hz 以下もダラ下がりの低域にしたかったが 8cm では少々エネルギーが足りないようである。
W3-582SC のコストパフォーマンスの良さもさることながら、ポテンシャルも非常に高いことが分かった。 8cm ユニットで63Hz は頑張り過ぎの感があるが、音質的にも10cm 高級ユニットと比較してもそんなに劣っている訳ではない。但し、50Hz 以下はスパット切れて全くない。
フルレンジの高域に付いては ”ありのまま” である。
気になる所は、500Hz 前後の落込みが見られる、これに関しては未だ良い考えがない・・・
8cm ユニットは、一般的に中域中心の音創りをしていることもあり10cm にない良い部分もある。
周波数特性を見ると、63Hz~16kHz まで比較的平らであり、腰を据えた低域と質の良い中域再生を期待している。
性能本位でこの形となったが、如何せんデザインはブサイクである。この筐体に8cm ユニットはどう見ても似合わないのである ? ? ?
しかし強度・背圧の有効利用・バッフル効果を考えると幅はこの位は欲しいし、高さも共鳴管として動作を考えると最低90cmは欲しい等々でこの形となった。
設計ミス
設計ミスと言うより、考え方の間違えが測定から判った。
管の長さは、管の端から出口までと考えていたが、実際は、管の端から端までのようである。
FFT の結果を見ると、63~70Hz 付近にピークがある。 と言うことは、1/4λ が70Hz とした場合1.2m の管長となる。
設計段階では、管長を1m として計算したが出口から上のデッドスペースも管長と考えられ、その部分を含めると1.2mとなり測定値と略一致する。
以前から疑問であった、低域が計算以上に伸びたのはこの為であろう。
単純ミス ! ! ! 反省・・・
ミスを修正して、この筐体にシミュレーション上でベストマッチするのは、Alpair7 MAOP or Alpair7V3 のようである。 何れ、Alpair7 を取付けてみたい ! ! !
試 聴
前回の試聴では、ヴォーカル・音声が凹んで詰まらない音と書いたが・・・
一晩寝ると全く違う世界が見えてきた、バランス良く低域も出て3D 効果も全く違って聞こえる。
このユニットは比較的早い段階で熟成してくるようである、毎日が楽しい !
Lucia MicarelliのMusic From a Farther Roomを聴く
バイオリンの響きが素晴らしく共鳴管とマッチングが非常に良い。又このCDで100Hz 以下の低域部分が快く軽い低音がでている。
ATL-Speaker の特徴的低域は、包みこむような低域の上に演奏が広がる感じがする ? ?
録音にもよるが、音が散らばるような素晴らしい3D 効果を味わえる。これは小径ユニットの最大利点ともいえる、強いて言うならば、スーパースワンのような・・・
Diana KrallのWhen I Look in Your Eyesを聴く
ピアノが素晴らしく、大げさに言うとピアノの大きさまで表現できる ? ? ? しかし高域のタッチが少々耳につくが、暫くあいだ経時変化を待つしかない・・・
小口径ユニット(8cm) の最も良いところでヴォーカルは、本当に素晴らしい !
このスピーカーとマッチングが良いのは、何といってもクラッシックであろう。
柔らかい低音と空間が広がったような3D効果による臨場感は素晴らしい !
誉めすぎであるが、自作であるので我侭を言わせて貰った。
この世に2点とは無いスピーカーであるから ! !
初めての8cmユニットを使ったATL-Speaker は、小生にとって一寸衝撃的な別世界であった ! !
参考資料
鈴木茂氏
”穴あけ共鳴管スピーカー"
http://mcap.web.fc2.com/resonant.html
大沢博多氏
”多重共鳴管スピーカーを作ろう Vol.1 Part1”
http://rilsrt.web.fc2.com/documents/RILSRT009-1_MPR_howto.pdf
”多重共鳴管スピーカーを作ろう Ver.1 Part2”
http://rilsrt.web.fc2.com/documents/RILSRT009-2_MPR_howto.pdf
ご訪問&nice!をありがとうございます。
by A・ラファエル (2014-08-14 17:27)
8cmのユニットで63Hzまでフラットに出せるとは、ATLスピーカってすごいですね。作ってみたくなりました^^
by ZZA700 (2014-08-14 21:01)
A・ラファエル様
癒しとは、面白い題材のBlogですね。
又、おじゃまします。
by Sasha (2014-08-15 08:03)
ZZA700様
今回のATLは、自分でも傑作のうちに入ると思います。
スピーカー込みの総額で¥18,000ぐらいでした。
時間が、許せば是非作ってください。
また・・・
by Sasha (2014-08-15 08:09)