FE103En-S補助マグネットを付けての試聴 [スーパースワン]
2010-06-12
補助マグネット径と極の決定補助マグネット径を決める上で、ポールピース径とフェライトマグネット径の位置関係が重視されるので、磁気回路Fig1を書いた。
FE103En-Sの 磁気回路の予測図
①フェライトマグネット
②バックプレート
③ポールピース
④トッププレート
⑤ネオジウムマグネット
(補助マグネット)
a ギャップ
FE103En-Sの外形の寸法から、フェライトマグネットの内径を計算した。
1. 異方性フェライトマグネットの密度 4.8g/cm3
2. マグネットの重量 443g
3. マグネットの外径 φ10cm
4. マグネットの厚さ 1.5cm
以上より 内径はφ4.6cm? ポンチ絵の様になる。
また、ポールピース③はセンターキャップの大きさより推測してφ2cmとした。
*⑤の黄色い部分はこれから付ける補助マグネットである。
マグネット径の決定
非常に小型(φ10×5㎜)のネオジウムマグネットを所有していたので、これを使って補助マグネットの有効径を探ってみた。
バックプレートに近付けて吸着・反発の度合いをみてマグネット径を考えた。結果はφ6cm内では、S極N極 どちらを向けても引力であった。
このマグネットの実験とポールピースの太さとからφ3~5cmが良いのでは・・・
最終的にフェライトマグネットの内径と、ポールピースの太さも加味してφ4×1cmのマグネットで素材はネオジウムとした。
マグネット極の決定
目的は、補助マグネットを付けることでギャップ a の磁束を稼ぐことである。
結論から言ってしまうと、このマグネット径では反発方向に付けるのが正しいようである。
Fig.1から、補助マグネットを付けた後の磁束を創造して戴くと解るが、ぐるりと一周する磁気回路が構成される。
Fig.1の補助マグネットが、軸上にあり一定の距離がある場合、磁気的に NN’ は反発方向にある。ところが距離が近づくに連れ、中心付近の N' はバックプレート→ポールピースを通過し S と引き合うので斥力から引力に変化する。又、NN’ 極間は反発し合うのでN' の外側の端から出る磁力線は、推し戻されポールピースに入る。
結果としてギャップ a の磁束が強化される。
比較的簡単にネオジウムマグネットは付けられたが、取扱には注意を要する、ぶつけると割れてしまう。 装着時には、軸上で予想通りの力(斥力→引力)を感じられた。
緩衝材として、バックプレート・ネオジウムマグネット間には輸送時に付いていたプラスチック(φ4cm)を使用した。後で取り外せるように、接着材は使用していない。
諸問題
1. ネオジウムマグネットは、フェライトの4~8倍の磁束密度である。単純に磁力の強さが6倍としても、このユニットはネオジウムマグネットの支配下に入ってしまう。まあマグネットの大きさと強度が違うから一概に言えないが、付ける位置に依ってはギャップaの効果は相当あると思われる。
又、こんなに強力なマグネットを使った場合、ヨークは磁気飽和している可能性が高い。特に④の先端は磁気飽和し易いように見える。
2. 反発方向に補助マグネットを付けた場合、磁力線は歪(イビツ)な形となり歪(ヒズミ)の元になるのでは??
3. どちらにしても、この補助マグネットはキャンセルマグネットではない。
外部に出る磁束はジャジャ漏れのはずで、密閉したいならば、パーマロイで覆うことである。
液晶TVなら必要ないか・・・
問題は考えられるが、まあ音が良ければ良い??
視 聴
FE103En-S+補助マグネット+スーパースワンの組合せで試聴した。今回も周辺機器・環境等が違うので、評価は聞き流す程度に読んで戴きたい。
補助マグネット装着後は、低音に芯がでてきた。10cmフルレンジ1発で嘘かと思うほどの締まった低音が出る。一方、中域の張出し・高域の粒立ちも素晴らしい。
全般的に筋肉増強をしたアスリートであり、且つ繊細で透明感もある。
この様に、Esコーン紙は今まで以上のストレスを駆けても耐えられるらしい。
FE103En-S+スーパースワンは元々素晴らしい音場感を持っているが、前にも増して 臨場感・空間の広がり・存在感・静けさを感じる。
マグネット装着直後の感想である。
追 記
脳内経時変化
補助マグネットを付けて、3日が過ぎた。
反発方向にマグナットを付けた直後の音は、激変していい音と思い込んでいたが・・・
試聴も随分進み音について、もの凄く不満が出てきた。
己を信じて数日間聴きこんでみたが、何処か変だと感じるようになった。
低域が出すぎなのである、又音場も凹んで聞こえる。
何故か理屈とは全く違うものがある ヤバイ σ(^_^;)・・・
最近交流を始めた、ベルビアさんのBlogにも書かれていたが低域が出すぎると・・・
視 聴 Ⅱ
なにはともあれ、目的は良い音を聞くことである。
今回は理屈抜きでマグネットを吸着方向に付けて試聴した。
低域に本来の生き生きとした躍動感が戻った。
空間表現も素晴らしくFE103En-Sのポテンシャルを再度発見した。
裸のままのFE103En-Sよりも数段素晴らしい!
何を書いてもNet上の方々には信じて戴けないでしょうね・・・
小生の理屈は完璧に覆られた。
自分の論理を押しと通すのも良いが、先人の経験則を大切にすべきである。
ベルビアさんと全く同じ実験をしてしも~た。
氏の試聴実験の結果を熟読していれば、このようなミスは起きなかった。
・・・と反省ザル!!
なぜ良くなったか分らないが・・・
理屈は後から付ければ良い・・・ な~んちゃって 全く無責任!!!
オーディオ フラフラ人生である、これは男の性か???
雑 感
数年前までフルレンジ一発では帯域も狭いし、高域の指向性も悪い、その他の制約も受けると感じていた。然しながら、それ以上の利得があると考えて使って来たが、このユニットの出現でその全てが一変してしまった。
帯域は広く、38cmウーファ並の低域も出せるし、高域も公称30kHzである。又、このフルレンジのフラットな周波数特性も素晴らしいく、何を聞いても違和感はない。
10cmフルレンジでこの出来栄えは素晴らしいの一言!!
小生のような映画ファンにはこの上ないスピーカーユニットの出現である。
ネオジウムマグネット、取扱上の注意
1. メチャクチャ強力なマグネットであるので、マグネット間に手を挟む・マグネットが空中を飛ぶ等、取扱いは要注意である。
2. コンピュータ等の精密機器の傍に持っていくと誤動作の原因になる場合もある。
3. 耐食性に弱いので、表面のメッキが取れないように扱わなければならない。
4.作業は子供の手の届かない所でおこなう。
5.全ては自己責任で作業・管理して下さい。
ネオジウムマグネット購入先
マグネット ジャパン
http://www.magfine.co.jp/magnetjapan/
FE103En-Sの磁束の検討 [スーパースワン]
2010-06-07
FE103En-Sのマグネット(磁束)の検討当初、マグネットは充分に磁場解析されたものが使われていると思っていたが、キャンセル(補助)マグネットを付けると音が良くなる?(強力になった)とのBlog上に記事を見つけたので、プチ検討をしてみた。
キャンセルマグネットを付けることで、音が変わると言う事は、トッププレート&バックプレートは磁気飽和していない言うことで、キャンセルマグネットの効果はあると想定した。
ここでは、鉄板を使用して一部分の磁気抵抗を減らす方法とネオジウム磁石を使った方法を考えてみた。
1. FE103En-Sの磁束の検討
①マグネット
②バックプレート
③ポールピース
④トッププレート
FE103En-Sの磁気回路の断面を推察する Fig.1 の様になっていると思われる。
寸法のないポンチ絵では、ヨークの厚み・長さが分らないので 何処が磁気的にキツイのか分らないが、実験でやってみるしかない。
人間有限要素法ダ!!
馬鹿じゃないの、頭 イテ~!!
磁力線は、ヨークを伝わってNからSへ ①→②→③→④と一周する。 感覚的にポールピースが充分に太ければ磁気飽和し易いところは、②と④である。
④は完全に分解することは不可能(壊れる)なので、②に鉄板を付けた場合と、②に補強マグネットを使用した方法を検討した。
2.鉄板を使用した場合
ここで鉄板を用いた補助ヨークで磁束の通りを良くできるのでは??
単にφ90×5mmの鉄板を背面に接着剤ナシで吸着するだけである・・・
目的は、補助ヨーク(ブルー部分)をつけることで③④間のギャップ(ここは磁束がジャンプする)の磁束増を狙った、そんなに上手く行くものか分らないが・・・
素材は,純鉄を使用するのが良いが遊びであるので成分の解らない鉄を予定した。
3.ポールピースと同径の磁石を付けた場合
鉄板で効果がない場合は、マグネットのお出ましである。
Fig.3のようにポールピースと同径ぐらいのマグネットで仮定してみた。この場合、N から出た磁束は S' に入るまで空気中大きく迂回しなくてはならなく磁束の経路は長い、これだと、S' に入るまで磁気抵抗の大きい空気中を暫く走るので、ギャップに掛かる磁束増はあまり期待できそうもない・・・
4.φ5cm径の磁石を付けた場合
程よい按配でNからS’ に向かっては比較的短いルートで入り込む。又、N N’ 間の磁束も反発してポールピースと空中を通りSに入る。
N S' 間の磁気抵抗を減らそうと考えた場合、このぐらいの直径のマグネットが良いのではないか。
最適値を見つけるのには、有限要素法等で行なえばよいが、Free Softではメッシュの制限もあり有効ではない、又有限要素法のソフトは馬鹿高いので購入は断念したと言いたいが、ソフトを買っても直ぐには使えない・・・
このマグネット径は、あくまでヤマカン・出たとこ勝負である。
良くキャンセルマグネットを付ける時、最初は斥力であるが近ずけると引力に変わると書かれている。
最初はNとN' 間で斥力であるが、距離が近ずくにつれ磁束は N’ 極からポールピースを通過しS極に向かう力が強くなる為、引力に変わると考えられる。キャンセルマグネットの口径に依ってもまた傾向は変わると思われる。
5. 4.のマグネットに補助ヨークを上から付けた場合
ここまで複雑な物は、お金が掛かり時間も掛かるので作るつもりはない。 2.で使用した鉄ヨーク(ブルー部)を、ネオジウム磁石の上に乗っけて実験も可能。
理想的に見えるが、あくまで理想である! これはお絵書き??
小生の場合、複雑怪奇な物は良い結果を得たことがない。
予 測
このBlogを書きながら、鉄板の効果は希薄ではと考えるようになった。
φ5cmぐらいのマグネットが、一番効果を期待できるが。実際音を聴いて見なければ全く予測不能である!!
無視した項目
*重量増加 → ユニット単体の質量増加の為、コーン紙が動いたときの作用反作用の効果は出ると思われる。又、ユニットを支える、フレームの振動も自ずと変わってくる。
*空気室の減少 ≒0.03ℓ なるが全て無視して進めてみよう。
*本来大雑把に磁束をFig上に書けば良かったが、今回は省略した ゴメン!!
*キャンセルマグネットと世間では言われているが、この場合NからS’に磁束を大きく外側に出しているからキャンセルマグネットとは言えない。
この実験の効能は近々のBlogでアップ予定・・・ それでは!
参考Blog
私の雑記帳
http://velvia.cscblog.jp/
FE103En-S&スーパースワンの試聴 [スーパースワン]
2010-04-13
FE103En-S&スーパースワンの試聴
まだ、FE103En-Sが小生のところに来て2週間であるので、エージング・箱のマッチング・アンプ等のマッチングと判らないことが多いが、大雑把な評価をしてみたい。
FE103En-Sの仕様
FE103En-S 周波数特性
このユニットの周波数特性はfo~30KHzまで伸びており他になく素晴らしいものである。
先ずは、FE103En-Sを追加した仕様の比較表を作った。
FE88ES-R・FE108S・FE108ESⅡ・FE108EΣ・FE103En-S比較表
(1) Qo & Mo
比較表を見ると Qoは0.2と今までの10cmユニットと比較して最強である。
ESコーン紙を使用したことで、Moを2.5gまで軽量化しても強度を確保出来たので、Qoを0.2まで持っていけたのであろう。
多分一味違うダンピングが効いた低音を聴かせてくれるであろう。 実効振動半径は、r=4.0cmで、これまでのフォステックの10cmユニットを継承している。
(2)マグネット
これまでの10cmユニットと比較して磁気回路は超強力とは言えないが・・・・・
磁気回路と言っても千差万別で、マグネットが大きいから良いわけでもない。
ギャップ間の磁束が強力でストロークを稼げれば良いわけで、その辺は開発者が有限要素法等で確認しておられると思うので、適正な磁束の物が付けられていると思う。
説明文では、マグネット内周部には銅リングを配置して~ と書いてある。 FE103En-Sの中央からの断面図が無いのでハッキリしないが、マグネットを磁気的に浮かしてヨークに均一な磁束をかけ、ストロークを稼いでいる思われる。
個人的な考えであるが、磁気回路はネオジウム等の強力なマグネットを使いコンパクト設計にして貰いたい。
マグネット径を小さくできれば、背圧の抵抗を減らすことができダンピング効率も上がる。又コーン紙の自由度も増えることから、微小信号の反応も良くなる。
現在のフェライトマグネットでは、径が大きすぎて背圧の抵抗になっているのでは・・・
(3) エッジ & ダンパー
エッジはダイナミックに動作するように、軽量布エッジのコルゲーションエッジを特別に設計して、ロングストローク・ハイコンプライアンス仕様となっている。ダンパーも同様にハイコンプライアンス化設計が成されていると思われる。FE10◯シリーズの更なる改良の跡が見られる。
(4) クロスオーバー
このユニットの周波数特性よりクロスオーバーは600Hz付近でのメカニカル2Wayとなっている。
取扱説明書の解説では、センターキャップにも工夫がありボイスコイルとボビンを直結して20kHz以上の高域特性を稼いでいる。
20kHz付近にもクロスオーバーと思われる落ち込みがあるのは何か??
(5) 取 付
ユニットの取付けは、103・106・108系のユニットでスピーカの穴系もφ102mm+ザクリであるので、今までのスワン系・バックロードにすんなり付くはずである。
試 聴
このユニットの標準機??
スーパースワンに付け試聴。
低域の伸びがよく、磁気回路・コーン紙の強度・エッジ等のマッチングが良い。
特に良いと感じるのは、ストローク(磁気回路・エッジの改良)が長く取れたことで、低域はFE108EΣ に比べ圧倒的に豊でダンピングが効いており、腰が座ったピラミッド状の音が出せる。
何を聞いてもオールマイティで自然でダイナミック・聴き疲れしない余裕がある音である。
但し、ドスン・バツン・ドカンを求める方には不向き??
FE88ES-Rと比較すると、誇張されてところが無く伸び伸びと鳴る。定位とハイエンドの延びではFE88ES-Rには敵わないが万人向きの音で聞き易い。個人的には、もう少し締まった音像を聞かせて貰いたい、一工夫が必要と感じる。
全般的に素晴らしいユニットであるが、一点気になるところがある。
まだ通電間もない赤子のユニットではあるが、高域にFE108Sのような紙臭さを僅かに感じる時がある。これはエージングで解消するかもしれない、待ってみよう!
もし、コーン紙からの紙臭さであるのなら、Next Versionでコーン紙の角度・素材・形状・センターキャップの変更等でフォステックの技術者が解決するであろう。
小生の結論として、このユニットのポテンシャルは、未知数で今後大いに楽しめるユニットであると感じた。
スーパースワンの音から推察して、箱を変えればもっとダイナミックに低域も稼げてワイドレンジになると思われる。
小生のスーパースワンではFE103En-Sのエネルギーを吸収できそうもない、そんなパワーを感じるユニットである。
空気室=1.8ℓ ・ ホーン長≒3.0m ・ So=40c㎡ などと勝手な考えが脳裏に渦巻き、アドレナリンが噴出してしまう・・・ 弩アホウである。
箱を作りたいが、小生の部屋にはもうスペースが無い!!!
報 告 お わ り
FE88ES-R&スーパースワン 再セッティング [スーパースワン]
2009-06-04
スーパースワン+FE88ES-R 再セッティング
しかしながら、フリーソフトを提供して戴ける著者には大感謝している!!!
Spectrum1(試聴位置の音圧)
試聴位置は、二等辺三角形の頂点ででスピーカより約3mの位置、スピーカ間は2mある。
Spectrum2(壁からの距離を4cm)
Spectrum3(壁からの距離を5cm)
Spectrum4(壁からの距離を8cm)
Spectrum5(壁からの距離を17cm)
FE88ES-R&スーパースワン [スーパースワン]
2009-03-01
FE88ES-R 周波数特性
小生がFE88ES-Rの物理的に一番良いと思っているところは、小口径であること。これは点音源に近かずくことで、小生の考えるベストのユニットに近い。又、性能本位に設計され、8cmの既存製品の直径とはせずに、カット&トライで決められた88mmφであり非常に好感がもてる。実際は直径9cmのフルレンジで、スーパースワンを意識して?作られたユニットと考えられる。
コーン紙の面積からFE108EΣとFE88ES-Rの比較をすると、面積比では約0.73倍(3次元で計算したわけでなく、相当いい加減)である。これに対しMoはほぼ70%と面積比・重量ではほぼ等価になるので、単純に考え小面積の方が強度的に強いはずである。ということで、バックロードとして用いた場合、相対的にMoを増やし超強力な磁場内で、ボイスコイル(銅銀の合金)を強力にドライブしても、それに耐えうる形状・大きさである。素材に関しては、工夫を凝らし適当な内部損失を持たせたESコーン紙が使用されている。又、UDRタンジェンタルエッジと呼ばれる、見るからにダイナミックに動きそうなエッジ・・・と解ったかのように言ってみた~い。実際にはカット&トライでMoの最適値は決められたと思われるが・・・。
108系とFE88ES-Rの比較をする為、Mo・Qo・マグネット重量等の比較表を作った。
FE88ES-R・FE108S・FE108EΣ・FE108ESⅡ 比較表
一つ目ドス
無音状態 試聴位置
ホワイトノイズ試聴位置
ホワイトノイズ軸場1右
ホワイトノイズ軸場1m左
FE108EΣ&スーパースワン [スーパースワン]
2009-02-19
スーパースワン+FE108EΣ
スーパースワン
長岡先生がスワンを発表した時、随分変わったデザインだな なんて思った。その後の長岡先生の評価で、一ファンの小生も一度は聴いてみたくなり、フォステックスのエンクロージャキットD-101Sを購入した。バックロードと言うことで複雑な音道と部材の歪みを修正しながら作るのは結構大変なことだった。時間をかけ製作が終わり思ったときは、ネーミングはスーパースワンで優雅であるが、室内に置くと結構な大きさと形からくる違和感が大きかった。現在は全く感じない。
素材のラワン材については密度不足であるが、エンクロージャーの内部損失と小生のマンションの床とを相対的に考えれば妥当なところである。エンクロージャーの泣防止対策と補強としては、長岡先生の手法を踏襲し鉛インゴットの重力で床に強制的に押し付けてある。言い換えれば床もスピーカの一部として利用している、又天板上にも鉛インゴットを乗せてある。これが効く!スピーカ(振動源)近傍の重量は重いほど良く、内部損失が大きいほうが良いことが解る。
今まで、小生がフルレンジ10cmのスーパースワン(FE108EΣ使用)のみに固執しているのは、スピーカ分割による電気的・物理的煩わしさから開放されるためと、音源の大きさ(ベストは点音源と考えている)に起因するものが大である。確かにフルレンジ一発では帯域も狭いし、高域の指向性も悪くなり諸々の制約は受ける。しかしながら、音場再生においては一発で鳴らすのがベストと考えているので、小生はこれで善としている。
スーパースワンを20年近く愛用した現在でも、自作ということで愛着もあり諸条件を加味すれば、今後も小生はこのエンクロージャーを使い続けるであろう。
スピーカ単体の音として、以前使用していたフォステックスのFE108Sは素材の紙の音を強く感じた。現在のFE108EΣは素材もコーン紙構造・エッジ構造も違い、紙臭さは皆無と言って良い。フォステックスの技術の底力と継続力に敬意を表すると共に、素材開発・物理的解析技術の進歩を強く感じる。今後も良いユニットがあれば交換してみたい。
試聴位置でのスペクトラム
測定はスピーカ中央で3角形の頂点、距離は中央から約2m、耳の高さで測定してみた。サンプリング数は16384点で測定した。グリーンラインはリアルタイムの波形、レッドラインはピークホールドの波形。
無 音 時
無音時でも160Hz界隈で常にピークがあるが震動源は判らない。また6KHzにもピークがある、こちらはデジタル機器からのノイズと思われる。
ホワイトノイズを入れた時
ホワイトノイズを入れた時は、900Hz〜1KHzにかけてメカニカルクロスオーバーのディップがある。又7KHzからはダラ下がりでスピーカを正面に向けたとき、試聴位置では30度角になるので、そのようなスペクトルになるのであろう。又距離が離れれば高域は減衰しやすいのでこのような波形になった??と思われる。
或いは心配していた7KHzから上の極端な落ち込みは、マイク特性かもしれない、又13KHz以降は全く反応なく無心号と同じレベルである。近日中に調査が必要である。
可聴帯域から考えれば、このフルレンジは1KHzを中心に、100Hz〜7KHzぐらいまでは充分な再生能力を持っていると考えられる。