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Acoustic transmission line speaker(ATL-Speaker)のシミュレーション [ATL-Speaker]

2011/12/27

ATL-Speaker のシミュレーション


ATLS.png
Fig.1


構 想
今回は、共鳴管スピーカーの一つである "Acoustic Transmission Line speaker(以後ATL-Speaker)=TLS-Speaker"のシミュレーションをしてみた。
この方式は、バックロードのホーンを反対側に向けて付け、バックキャビティーはスロート無しでホーンに繋がっている。
その開口部に向かってホーンを絞り込む手法は、はっきりと理解していない。 然しながら、ATL-Speaker の設計は、前回作った複合共鳴管の延長線上にあると考え設計を進めた。
ATL-Speaker のイメージは、逆ホーンの共鳴管である。
ATL-Speaker / Tapered-Quarter-Wave-Tube(TQWT) / Back-Loaded-Horn(BLH)の3種は、背圧を直接ロードして低域を稼ぐ方式で、比較的近いカテゴリーに属しているスピーカーと考えられる。 この為、形状も似てくるのは仕方が無い。
今回の基本設計はATL-Speakerであるが、そのデッドコピーを作るつもりは無く a ~ g の値を変えてシミュレーション結果からFig.1を書いた。



シミュレーション
前回のシミュレーションで確たる結果を得なかったが、今回も当たり付けのため行った。
プログラムは何時もお世話になっている ”自作スピーカー設計プログラム” を使って、ユニットはFE108eσ を想定した。
このシミュレーションプログラムでは、吸音材の量も加味出来るので、左側に吸音材を普通に・右側に吸音材を多めにした結果を表示した。


(1) 全体がテーパー付共鳴管とした場合、L=170cm r1=9.0cm r2=4.2cm
比較吸音材170.png
それでは、A+B 全長で共鳴した場合、 手計算ではλ / 4 は50Hzぐらい。
"自作スピーカー設計プログラム" の結果でも35Hzまで伸びてはいるが、音圧レベルは8dbぐらい低い。


(2) Bの管が単独に共鳴した場合、L=70cm r1=5.5cm r2=4.2cm
比較吸音材70.png
70cm管のλ / 4 は、121Hzである。
単管で共鳴したとして "自作スピーカー設計プログラム" の結果では、100Hzと350Hzで位相反転が見られる。


(3) シミュレーションと学習から・・・
複合共鳴管スピーカー(CRTS1)からの学習と (1)~ (2) のシミュレーションから推測して、ATL-Speaker でも低域はダラ下がりの傾向を示すと思われる。
然しながら、開口部が前面に来ることで少しは低域を稼げるかもしれない。 反面、高域漏れのため吸音材の量は、多くせざるを得ないだろう。
このシミュレーションの低域波形を見ると、スピーカーに近い所(A管)に吸音材を多く、又出口側(B管)は吸音材を少なくした方が良いと感じる。

素材(板)に関しては、15mm厚で比重の大きいシナアピトンクラスを使用して、もう少し重さを稼ぎたい。


ATL-Speaker の設計
エクスポネンシャルで開口が狭くなるとして計算してみた。
折返し部のAB ( d ) は、5mmほど計算値より大きくとった。

ATLSDATA.png


ATL-speaker Graph
ATLSGraph.png



ATL-Speaker の仕様
板 材  シナアピトン(15mm厚)
サイズ  幅17.0cm(底板:27.0cm)
      奥行き33cm(底板:38cm)
      高さ:100cm 
内 寸  幅14.0cm
      a=18cm, b=14.8cm, c= 8.0cm, d= 8.5cm,
      e=6.8cm, f=g=4.0

目標最低域 50Hz
使用可能なスピーカーユニット
      FE103-En-S・Fe108Eσ・FE108S・FE88ES-R  etc.


  もう年の瀬なので、来年に製作予定している!!

追 記
15mmの板を予定していたが、12mmの板で適当な物を見つけた為、仕様を次の英語版に変更した。



参考Blog
Acoustic transmission line(Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Acoustic_transmission_line

自作スピーカー設計プログラム
http://www.asahi-net.or.jp/~ab6s-med/NORTH/SP/index.htm




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近くに住んでいるジージ

田中式に加え今回のATL、結果を楽しみにしております。ところで製作された田中式のBLH、音質等更なる評価、如何でしょうか?私も製作を検討しているところもあり、もし追加情報等掲載戴ければ幸いです。
by 近くに住んでいるジージ (2011-12-29 12:37) 

Sasha

近くに住んでいるジージ様
現在、田中式スピーカーをメインスピーカーとして使用しております。
私の考えでは、田中式はBLHというより、共鳴管動作の方が強いと考えております。
Blogの記事から変わった点は、吸音材を増やしていることです。吸音材を増やすと、音だし時は、沈んだ音となりますが暫くするとダイナミックな音に戻る感じがします。又エージングは2ヶ月前後必要かと思います。板の乾燥度等で変わると思いますので一概には言えませんが・・・。
低域は、ダラ下がりに相当に伸びて可聴帯域を超えている感じです。
現在、ユニット交換してBlogを書く予定をしております。
対象ユニットは、FE108EΣ・6N-FE108S・FE103En-S・FE88ES-Rを考えております。
それでは

by Sasha (2012-01-01 07:25) 

youzi

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆
 昨年中は大変お世話になりました
 今年もよろしくお願いいたします
 2012年がよい年になりますように!
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆
by youzi (2012-01-01 21:01) 

近くに住んでいるジージ

Sasha様、
あけましておめでとうございます。新年早々ご丁寧な連絡と説明ありがとうございます。田中式のBLHの情報ありがとうございました。今後のBlogを楽しみにお待ちいたしております。また、もし可能でしたら、Blogでご使用されている吸音材につき、材質等教えていただければ幸いです。宜しくお願い致します。
by 近くに住んでいるジージ (2012-01-01 21:44) 

Sasha

近くに住んでいるジージ 様
あけましておめでとうございます。
吸音材の件ですが、アオキ産業のニードルフェルトを使用しました。
これからも、Blogを見てください、宜しく。

by Sasha (2012-01-01 23:38) 

たーちゃん

Sasha さん訪問とnice!ありがとうございました。
吉祥寺近辺にお住いのようですが、私は武蔵野市の住人です。趣味もスピーカー自作で似ているようですね。そちらのほうは本格的な設計から、音響測定後のチューニング、エージング等素晴らしい内容だと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
by たーちゃん (2012-01-07 12:34) 

CountryBoy

謹んで新年のご挨拶を申し上げます
本年も宜しくお願い致します
by CountryBoy (2012-01-07 15:09) 

Sasha

たーちゃん様
Nice & コメントありがとう御座います。
吉祥寺には良く飲みに行きます、趣味が比較的近いようで貴殿のBlogを拝見してSACDのレビュー大変参考になりました。
最近私もSACDに興味を持ち始めているところです、今後も宜しく。

久我山の住人より
by Sasha (2012-01-07 17:21) 

Sasha

CountryBoy様
本年も宜しくお願いいたします。
わんちゃん 可愛いですね
可愛がってください。
by Sasha (2012-01-10 18:28) 

Sasha

youzi様
今年も宜しく!
わんちゃんに宜しく!
by Sasha (2012-01-10 18:31) 

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