Ver.4.1 + W3-881sjf の最終調整 [ATL-Speaker]
2014/10/10
Fig.1
Ver.4.1 のまとめ
ごちゃごちゃと同じことを書いてごめん!!!
設計段階での歪と低域対策
(1) 歪対策として、共鳴管にテーパーをもたせ逆ホーン型とした。
シミュレーション上で直管に比べテーパー付きは、共鳴管特有のピーク・ディップは明らかに小さい。
(2) 低域の効率UPのため、2つ折の共鳴管とした。
小生のシミュレーターでは、直管で計算されるため 2つ折・3つ折の結果は得られない。
しかし経験上、等長の3つ折管は効率が悪く低域を稼げず奇数波歪も多く出た。 等々で今までの試作より現在の2つ折り逆J形とした。 又、長岡先生の2つ折りJ型共鳴管も参考とした。
(3)数本の共鳴管を作り、歪が出ることを前提として実験用に2箇所のφ4cm孔を後面に開けた。
(4) 共鳴効率を上げるため、当初より吸音材部も含めた太めの設計とした。
2つ折としたのも共鳴効率を稼ぐためで、折り返し点での音圧減衰は大きいからである。
奇数次歪の対策
試聴してみると、奇数次歪が聞こえる。
対策として、片側閉管共鳴管のピークである、奇数次歪(1/4λ・3/4λ・5/4λ・・・)の鳴き止めを試みた。具体的には、ある周波数をターゲットにガス抜き孔を開けてみた。
(5) 1/4λの調整は、Fig.1の一番下の穴を上板下から中央82cm-φ4cmとして、63hzピークと80hzボトムの補正をした。
(6) 3/4λの調整は、中央の穴径を調整して、上板下から中央37cm、φ1.5cmで70~100hz付近の調整をおこなった。この調整は、他の孔とも相関関係がある。
ピーク潰しは、モグラ叩きのように、こちら潰せばあちらが出てくる面倒なものである。
(7) その後の試聴でn次歪?? の対策をした???
ある程度、共鳴管が完成してくると高次歪が気になるものである。
FFTスイープで1/3オクターブを平均化すると見えないが、リアルタイム測定でピンクノイズを入れると、高次歪があるピッチで見える。 同様に試聴でも、ある周波数で高次歪を感じる。
対策としてφ1.2cm孔を22cm所に開けた。 殆ど音には影響ないと思っていたが、スピーカー近傍の孔は効果大である。
この孔を調整する事で高域の微調整ができた。具体的には孔内にスポンジを入れて音質の変化をさせた等々。
高域はすっきり見晴らしが良くなり靄ついたところが取れ、はっきり・すっきりしシンバル等の楽器が明瞭に聞こえるようになる。
突っ張ったところがなく、とても聴きやすくなった。
ATL共鳴管の利点・欠点
この方式の利点は、振動板に掛かる背圧が少なく、振動板の自由度が大きいため微小信号の応答性が良い。この為か、ストロークが長く取れ遠近感があり明瞭な音となる。
又、ショートホーンの割には、低域を稼ぐことが出来る。
共鳴管の欠点として、独特な共振音が出るため耳障りな音と感じて、そこで投げる方も多い。 しかし、ここからが正念場で、最終調整に成功した者だけが美音を聞ける!!
”仏作って魂入れず” では、共鳴管があまりにも可愛そうである。
FFT測定
結果は、前回の測定と略おなじである、しかし臨場感等は大きく変わっている。FFTはその様なものである。あくまで平均的な表示であり、音を評価する最終手段ではない。
追 記
最終調整後1ヶ月でユニットの熟成を見る為、再度FFT測定してみた。
なんと、8k~10kHzの落込みがなくなり、何もしないのに全体の平滑化が進み63Hz~16KHzで ±3dbを達成した。
スピーカーは、生き物のように諸条件により状態が逐次変化するようだ!!
参考資料
Acoustic transmission line(Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Acoustic_transmission_line
自作スピーカー設計プログラム
http://www.asahi-net.or.jp/~ab6s-med/NORTH/SP/index.htm
鈴木茂氏
”穴あけ共鳴管スピーカー"
http://mcap.web.fc2.com/resonant.html
大沢博多氏
”多重共鳴管スピーカーを作ろう Vol.1 Part1”
http://rilsrt.web.fc2.com/documents/RILSRT009-1_MPR_howto.pdf
”多重共鳴管スピーカーを作ろう Ver.1 Part2”
http://rilsrt.web.fc2.com/documents/RILSRT009-2_MPR_howto.pdf
2014-10-10 08:19
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コメント(2)
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>FFTはその様なものである
そうかもしれないとは思うものの、あまりにも見事なFFT特性を見るにつけ、
決して軽くない溜息が出るのも、また事実なのであります。
いや、ホントに。
by song4u (2014-10-10 21:03)
song4u様
コメントありがとうございます。
FFTは、ご存知のように無限に続く周波数を前提としています。
そこで音楽のような突発的な周波数を扱うのは、難しいのかもしれません。
もし、ある周波数特性が真平らでも音楽的には大差ないのかも知れませんね??
song4uさん、細かいところまで見ていただいてありがとうございます。
また・・・
by Sasha (2014-10-14 19:20)