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Acoustic Transmission Line Speaker Ver.2の調整 [ATL-Speaker]

2013/8/12

Acoustic Transmission Line Speaker Ver.2の調整

調整方針
今回は、ATL-Ver.2+Alpair7をFFT測定後に、共鳴管特有のピーク・ディップを確認して平滑化してみたい。手法としては、共鳴管内に穴を開ける方法で行いたい。
共鳴管に穴をあける手法は、既に鈴木茂氏の ”穴開き共鳴管システム” に書かれていた。
小学生時に使ったアルトリコーダー(縦笛)のように空気を抜く位置を変えて共鳴させ、周波数を変える方法である。
穴を開け一部をバイパスし2波長の共鳴効果を得て、ピーク・ディップを埋めようと考えたが音波がその様な動きをするかは疑問符が付くところである。
 或いはただのガス(空気)抜きになるかも・・・・


ATL-Ver.2+Alpair7のFFT測定
測定器具&測定方法
MAC Mini + SignalScope Pro/FFT Soft + BEHRINGER / コンデンサマイク ECM8000 + BEHRINGER /ファンタム電源 MIC100。
ATL-speaker Ver.2をユニット軸上1mでFFT1/3オクターブで積算表示、20Hz?~20KHzをスウィープして測定。

Ver2 leq right only2.png
ATL-Ver.2+Alpair7のFFT測定

FFTの測定では、40Hz〜8KHz迄は共鳴管特有の凹凸はあるものの比較的フラットである。
10KHz以上のピークは、最近の海外フルレンジユニットに多く見られるものであり、敢えて10kHz以上にピークを持たせ可聴帯域ぎりぎりから高域を伸ばす手法が取られている。


共鳴管に穴を開ける
ATL-Ver.2のFFT測定結果を踏まえ、最初のピーク(63Hz)近傍にターゲットを絞り平滑化用の穴を開けてみる。

穴径と位置の計算
ATL Ver.2の管長は1.3mでλ/4 は、音速340mとしてλ/4=340/1.3/4=65Hzである。
FFTの結果を見ると、63Hz・161Hz近傍にピークがある。計算結果と実測を比較すると、ほぼ近傍にピークが出ているところから、この周波数で共鳴していると考えられる。
それでは、ピークから12Hzずらして2波長を単一の共鳴管から作れればと、都合の良い考えを推し進めた。 12Hzずらせ77Hzで共鳴させる場合の管長は約1.1m(λ/4)であり、ここに穴を開ければ良い。
ここで、穴は共鳴管内に開けるのか?又は、側板に開けるのかは迷うところである。
鈴木氏のレポートでは、側板に3穴開けた作例であったが、へそ曲がりの小生は共鳴管内に1穴開けてみた。
鈴木氏のレポートより穴径は、スピーカーの実行振動面積の1/4ぐらいとの記述がある。
Alpair7 gen.3の実行振動面積(50.2㎠)から1/4の穴径を求めるとr=2.0cmとなるが、小生の勝手なシミュレーションでは、r=3.0cm(φ6.0cm)が良く非常に大きな穴となったが、ホールソー径よりφ5.7cmとし、1.1mのところに共鳴管中心から2cmオフセットを取って開けた。


ATL 穴1  sweep peak2.png
穴開け後のFFT測定

穴を開けたことで63Hz付近のピーク・ディップも予想通り?に平均化されている。
125・200Hz付近のディップが気になり2穴目を考えたが、エネルギー的にこれ以上の補正が効きそうも無く、バランスが崩れそうなのでここで打ち止めとした。共鳴管と付き合うためには、許容範囲内のピーク・ディップは黙認することが必要かも・・・
共鳴管の穴あけ補正は、ピークのモグラ叩きのようなもので、グラフィックイコライザーを扱うテクニックに通じているかもしれない。



スクリーンショット 2013-08-10 22.36.37.png
Ver.2の穴位置




試 聴
穴を開けた直後の試聴では、軽快な音に変わり細部の表現力と3D効果も増している。
よくある事であるが、低域のバランス変化で中高域の分解能も変わって感じるのである。
FFTの測定結果からも分かるが、低域が平滑化されることでより聴きやすい音となっている。又当初懸念していた穴を開けることによる、低域のアタック感の減衰は殆ど感じない。
結果として穴を開けたことで低域の最初のピーク部のエネルギーを削ぎ、その分埋もれていたディップ部を補完出来たことで低域がより自然に聞こえる。
10cmフルレンジ一発のシステムとしては、40〜20KHzまで10db内でカバーしており広帯域システムと言える。
小生の耳では、最終判断まで時間がかかるが、大枠で期待していた音となった。 (^o^)V

 
今回のテスト結果を踏まえ、次回はVer.3も同様の改修を行ってみたい。




謝 辞
穴あけ共鳴管の先駆者である鈴木茂氏と、穴位置と周波数補正に関して多くのアドヴァイスを戴いた大沢博多氏に、謝辞を表したい。

Report
鈴木茂氏の ”穴あけ共鳴管スピーカー"
http://mcap.web.fc2.com/resonant.html

大沢博多氏のReport
多重共鳴管スピーカーを作ろう Vol.1 Part1
http://rilsrt.web.fc2.com/documents/RILSRT009-1_MPR_howto.pdf
多重共鳴管スピーカーを作ろう Ver.1 Part2
http://rilsrt.web.fc2.com/documents/RILSRT009-2_MPR_howto.pdf




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コメント 4

ZZA700

仮説と対策がピタリと的中して効果が確認できた時、物作りの喜びを感じますよね。素晴らしいですね^^
by ZZA700 (2013-08-14 08:26) 

鈴木

穴あけの効果が確認できてよかったですね。
図を見ると内部の仕切りに穴開けされたようですが、加工が大変そうですね。
インピーダンス特性も見られれば効果が分かりやすかったと思います。
by 鈴木 (2013-08-14 09:24) 

Sasha

ZZA700様
今回の実験は楽しめました。
 ちょっと満足しています。
by Sasha (2013-08-14 15:02) 

Sasha

鈴木様
穴あけ加工は、比較的簡単でした。
当初から内部改造用に裏蓋を作りネジ止めして開放出来る設計としてあります。最後は接着するつもりですが・・・
インピーダンス特性ですが、私の能力不足でFFTプログラムと一緒に表記できなかった為です。 今後挑戦してみます。
我侭爺ですけれど、今後も宜しくお願いいたします。
by Sasha (2013-08-14 15:47) 

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