複合共鳴管スピーカのシミュレーション [複合共鳴管]
2011/10/10
複合共鳴管スピーカの概略
ネーミングは複合共鳴管スピーカとしたが、設計は、中間部分を絞る形としたため、田中式に限りなく近くなった。
コピーする気はないが、人間一度見ると同じ方向に導かれてしまう、独創性がないネ!!
多分、コピーしたからと言ってそんなに素晴らしい音はしないはずである、板材・板厚・作り込み・経験、全てが違うからである。
それでも今回は、作るつもりで気をいれて考えてみた。
板取もサブロク3×6(90cm×180cm)1枚で1台取れるようにした。
この方式は、共鳴管+バックロードの中間を取るような方式であり、構造的に簡素化されていて作り易そうである。
Fig.1
構 想
スピーカの高さは、小生のリスニングポジションから高さ1mとしてユニット中心位置を床より89cmとする。
幅は、スーパースワン等の経験より、音の回りこみを考え10cmユニットでギリギリの15.4cm(内寸13cm)として、これを2回折りのホーンとしてFig.1を書いた。
Blogによれば、TQWT(Tapered Quarter Wave Tube)ではユニットの取付け位置は共振させないポイントに固定するようである。
今回は、複合共鳴管と言う事でスピーカは共鳴管の端に付ける。
1. バックロードの空気室に当たる部分のA管は、長さ85.6cmの管として10cmから5cmまで絞る形とする。
2. 中間のB管は、均一幅(13×6cm)のテーパーなし共鳴管とする。
3. 最終部のC管は実験用として角度を変化させられるように自由度を持たせ、天板に蝶番等を付け角度を変えて実験をしたい。
Constant Width(CW)型の設計は、比較的簡単に設計でき作りやすいという利点がある。
その他. 経験上トールボーイスピーカは掴み場所が無いので、ハンドリング用としてバッフル部分を①②③に分割とする。又奥行きを2cm長くしたのも、ハンドリング用である。
又、⑦の一部に切り掛けを施し、吸音材の挿入口とする。
シミュレーション
何時もお世話になっている ”自作スピーカー設計プログラム” を使って、バックロード・共鳴管・テーパー付共鳴管のシミュレーションを行った。ユニットは、FE108Eσに想定した。
1. バックロードと見立てた場合
Fig.1のA部を空気室 (8.2ℓ)と見立ててバックロードとして考える。
このSo(b)の断面積は65c㎡であるが、スーパースワンの42c㎡から比べると約5割増しである。
バックロードとしてのシミュレーションでは、ロードが殆んど掛からなく低域ダラ下がりで100Hz前後にピーク&ボトムが出ており、位相反転は起こるようである。
Va=8.2ℓ, l=1.83m, r1=4.5cm, r2=6.4cm
2. テーパー付共鳴管とした場合
1.と同様にAを空気室と考え、テーパー付共鳴管(1.83m)で共鳴すると仮定して計算したところ、50Hzまで伸びてストント落ちている。又、150~220Hz付近が落ち込んでいる。
l=1.83m, r1=5cm, r2=6.4cm
3. 全体がテーパーなしの共鳴管と仮定した場合
それでは、A+B+C全長で共鳴した場合、 手計算ではλ / 4 は33Hzぐらい。
"自作スピーカー設計プログラム" の結果でも33Hzまで伸びてはいるが、音圧がレベルより4dbぐらい低く140Hz前後に強烈な落ち込みがみられる。
l=2.68m, r1=5cm
4. 全体がテーパー付共鳴管と仮定した場合
この場合は90Hz前後から ダラ下がりで35Hzまで伸びているが、100Hzから160Hz前後に落ち込みがみられる。
テーパー無しより僅かに低域の伸びは悪いが、その分ロードされた音圧は上がるようである。
l=2.68m, r1=5cm,r2=6.4
5. A・B・Cの管が単独に共鳴した場合
管が85cmとしてのλ / 4 は、100Hzである。
単管で共鳴したとして "自作スピーカー設計プログラム" の結果では、100Hz~300Hzにロードが掛かっている。
0.85m, r1=5cm
6. シミュレーションから・・・
動作は、共鳴管で働くようである。 如何せん空気室の容量が8.2ℓでは、空気室に掛かる圧は少なくバックロードとしての動作ができない。反面、コーンにかかるストレスは殆どないと考えられ開放感のある音が期待できる。
どの程度の低域の音圧が出るかは、実験してみなければ判らずココがポイントかと思われる。他方、低域下限の伸びはある程度期待できる。
シミュレーションからも解るが、開口部から出る共鳴管特有の癖の強い音に試行錯誤を強いられるのであろう・・・
構想段階で C管の角度を調整できるように考えているのは低域の量的対策であるが、B管で絞られている為、どの程度の効果があるかは定かでない。
又、1.〜5.のシミュレーションより完成時は、100〜200Hz付近が落ち込むであろう。
どちらにしても、ロードされた音圧の直後に位相反転がおこり、強烈な落ち込みが見られる。
この周波数の倍音・相互作用等が放出されるわけである。
こんな計算しても意味ないよな!
だから ガラガラ ポンで行こう・・・
自信が無いので、飽くまでテスト用であり本番ではない・・・
と 爺(ジジー)は、 逃げを打ちつつ・・・
複合共鳴管スピーカの仕様
完成予想図はFig.1でトールボーイ型の共鳴管となった。
板 材 :ラワン(12mm厚)
サイズ :幅15.4cm(底板:23.4cm)
奥行き28cm(底板:32cm)
高さ:100cm
内 寸 :幅13.0cm
目標低域 :50Hz
使用可能なスピーカーユニット
:FE103-En-S・Fe108Eσ・FE88ES-R etc.
板取&板サイズ
板サイズ (1台分)
単位cm
板取(3×6)1台分
板取も出来たところで
爺(ジジー)は、いそいそとD.I.Y.ショップに・・・
追 記
後日、組み立てを容易にするため、図面の一部を加修することとした。
次回のBlog English versionで板取図面を確認してください。
参考Blog
丹波漆器.com スピーカー関連エッセイ「エッセイ41」
http://www.nexyzbb.ne.jp/~tanbashikki/essay41.html
自作スピーカー設計プログラム
http://www.asahi-net.or.jp/~ab6s-med/NORTH/SP/index.htm
お尋ねですが 音道材 NO8に角の切り欠きが有りますが、之の意味が不明 今製作中なのでどうしようかと迷ってますので お教え下さい。
by masa (2017-05-24 19:55)
コメント有難うございます。
⑧の下の切掛けは、そこをネジ止めにしてbcdにデットニングを行うために作りました。
その時の調整の結果、⑧の板は2cmぐらい短い方が良い(cとeを2cm大きくする)と考えています。
180度ターンでは不連続となる為、その部分は太くしておく方が音の通りも良いように思えます。
by Sasha (2017-05-28 09:58)