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FE103En-S用バックロードの設計 [トールボーイスワンⅡ]

2010-09-23
FE103En-S用バックロードの設計(トールボーイスワンⅡ)

TBSポンチ絵Ⅺ.png


概 要
① エンクロージャの形式は、スワン型のバックロードとした。
但しホーンの開口は前面とした。

スワン型とした理由として、スワン型のスピーカが独特な臨場感・空間表現力を作っているのは、スピーカの空気室の音の周り込みだけでなく、空気室の板振動が上下左右前後に広がる根源と考えたからである。


② トールボーイスワンⅡは、板振動の視点からエンクロージャ全体を考えて設計してみた。
スワンが、点音源と言ってもスピーカ周辺の板は振動するはずである。今回は人為的に板振動を活用するエンクロージャに挑戦したい。
一番振動しやすい部分は前面板(音道⑧番脇の板)となる予定である。前面板も振動板の一部と考え、製作後は前面板の差換えで低域のテストを行いたい。

③ 素材と板厚の選択であるが、トールボーイスワンからの学習より、ユニット径と部屋の広さに合わせて板厚の選択をしたい。
具体的には、12mm(杉合板)・18mm(スパーシナアピトン)とした。
又、板振動させたい部分を12mm厚とし、極力固定したい部分を18mm厚とした。2種類の板を使い分け設計を進めた。

④ レスポンスの良い小音量型のスピーカを目指し、且つ低域も欲張りたい。
バックロードのホーン長は2.6mぐらいを取りたかったが、構造上の制約から2.5mで我慢せざるを得ない。
ホーンは、なるべく滑らかにしてエクスポネンシャル曲線に近似させた。シュミレーションでは、So付近の誤差が出やすいから、その付近は細かい補正をした設計とした。


仕 様
ユニットがFE103En-S(10cmフルレンジ)なので、スーパースワンに近いパラメータとした。

・ユニット FE103En-S
・Va(空気室容量) = 1.9 ℓ
・So(スロート面積) = 42c㎡
・fx(カットオフ周波数) fx = 10 × So / Va ≒ 221(Hz)
・ホーンの開口率式  S=So×1.103^(0.1×距離(cm))・・・(1)
・ホーン長 ≒ 2.5m バックロードデットホーン(開口は前面)
・板厚は12mm(杉合板)&18mm(スーパーシナアピトン)
・全高 1.0m 全幅 32.0cm 奥行き 30.3cm

パラメータの詳細な検討方法は、(FE88ES-R トールボーイ スワンの設計)を参照して戴きたい。

設 計
先ずは、ホーンのパラメータの調整でSoを42c㎡で開口部を約490c㎡とした場合、(1)式の開き角のパラメータは1.103となった。
先ずは、エクセルでExponential曲線を作り、それに近似する音道にフィッティングさせた。
今回はなるべくホーンの精度を上げるため、板を斜めに取る手法をとった。
板を斜めにした方が、板を重ねるより精度を上げられる。 然しながら製作時には手間もかかる。
又、⑤&⑦の180°の折り返し部は、どうしても誤差がでやすい。

その他、スロート付近のホーンの断面をなるべく四角形に近づくようにして、ロード抵抗を減らすよう心がけた。

下記グラフ・数値データを参照してください。

TBSグラフⅪ.png


開口断面積計算
 
数値データⅪ.png


雑 感
ある信号がスピーカに入力された場合、当然そのスピーカの振動板からのエネルギーは、空気中に放出される。
それ以外にエンクロージャを伝わり床・壁に伝達される。又、エンクロージャの振動は再度空中に放出される。その他に、板の内部損失として熱にも変わる。
よくスピーカの理想は、ユニットの振動板のみが振動すればよいと書かれているが、世の中にそんなに都合の良い素材は無く、必ずエンクロージャは振動する。
エンクロージャ造りは、如何にエンクロージャを鳴らし、エンクロージャとスピーカからの音が調和(共生)するかである。

ごちゃごちゃ書いてしまったが・・・

  設計は出来たが、 "Go ahead ! " は まだかからない。


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コメント 2

カノン5D

Phile-webではコメントありがとうございました。
凄く充実したブログで、しばし読みふけってしまいました。
トールボーイスワンⅡもかなり期待できそうなので、作製頑張ってください(≧∇≦)ノ
by カノン5D (2010-10-02 19:57) 

Sasha

カノン5Dさん、大変情報量の多いブログを書いて戴き大変参考になります。
小生の様な年寄りには体力的に着いて行けない所もありますが・・・
カノン5Dさんは未だ年齢的にもお若い様なので、今後のオーディオ世代の星となる事を期待しています。
私にも経験則が足りず解らない部分が多いので、またPhile-webにお邪魔します。 
 それでは
by Sasha (2010-10-05 22:58) 

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